最終更新日 2007年6月29日

【保険】


 米国へ赴任する際、手配しなくてはいけないものの一つに保険が挙げられます。
 ここでは出発前に加入しておくべき二種類の保険をご紹介致します。

【医療保険】
 現在、先進国で唯一、皆保険制度(公的医療保険制度)がない米国には4,000万人
 から5,000万人もの医療保険未加入者(無保険者)がいると言われており、多くの
 米国民は民間の保険会社が提供する複数のプランから自分に合った保険を選択し、
 加入することを余儀なくされております。

 また大半の病院では治療費の未回収を防ぐため、初診の際に保険証(IDカード)の
 提示を求め、万が一、保険証の提示が出来ない患者に対しては数千ドルのDeposit
 (保証金)を要求するケースも見受けられます。さらにはIDカードを持っていなけ
 れば、受診そのものが拒否されることもあるため、医療保険に加入することは米国
 で生活する上では絶対に欠かせない最低限の条件の一つといえます。


 尚、保険に加入していても、自分の勝手な判断で病院へ行くことは一切許されず、
 初診時には事前に決められたホームドクターに診てもらうことが義務付けられてお
 ります。このホームドクターは、受診する患者および家族の診断・治療・健康管理
 を行い、専門的な治療や処置が必要な場合には紹介状を書き、ここで初めて病院へ
 行くことが出来るようになります。したがって日本のようにいきなり初診で大学病
 院へ行ったところで紹介状が無い限りは必ず門前払いされてしまいます。

 その上、保険会社が提携している医療機関と非提携の医療機関では自己負担や給付
 条件が大幅に異なるため、予期せぬ自己負担を強いられるケースも頻繁に見受けら
 れますので注意が必要です。


 これらをトータル的に補うには受入先で用意されている医療保険だけでは万全とは
 言えず、日本の損害保険会社が販売する「駐在員保険」「留学生保険」といった保
 険プランへの加入を検討する必要があります。


 ちなみに日米の代表的な保険制度の概要をご紹介します。

 ●日本の健保
 ほとんど全ての病気とケガを補償している反面、診療報酬と呼ばれる日本独自の治
 療費算定基準で計算し、その基準内でしか保険が適用されないため、もしも海外で
 治療を受けた場合には相当の自己負担が生じる可能性が極めて高い。また海外で支
 出した医療費を請求する場合には診断書や領収証の和訳文を提出することが要求さ
 れるため、実際に請求するケースは皆無に等しいと言われている。


 ●米国の代表的保険(HMOの場合)
 利用できる医療機関が限定される反面、自己負担がほとんど無い上、掛金が安いた
 めに契約者が非常に多い。但し、当保険にはPCP(Primary Care Physician=初診担
 当医)が設定されており、緊急時を除いては全ての治療をPCPで行うことが義務付け
 られている。もし他の病院へ行く場合には必ずPCPの許可(紹介状)が必要となり、
 自分勝手な判断で他の病院へ行っても保険が適用されないなど厳しい条件がある。


 ●駐在員保険
 海外は当然として日本への一時帰国中に発生した病気やケガまで補償する。予防接
 種や健康診断あるいは妊娠・出産に関する医療費は担保されない反面、自己負担が
 一切なく、保険会社によっては世界各国に日本語で対応できる窓口を用意している
 ため、いざという時には頼りになる。尚、掛金が高いのがデメリットといえるが、
 米国赴任者の大半が契約している最もメジャーな保険と言える。


 ところでJビザ保持者の場合、一定基準※を満たす医療保険に加入することが連邦
 法により義務付けられておりますが、受入先によっては同基準を満たす医療保険に
 加入していることを証明しない限り、DS-2019を発行しないケースも見受けられま
 すので注意が必要です。


 ※連邦法により全てのJビザ保持者(J-2含む)が加入することを義務付けられてい
  る保険加入条件の主なもの(下記以外にもたくさんの条件が設定されています)


 ●Medical benefits of at least $50,000 per accident or illness;
  →病気・ケガの治療費を5万ドル以上カバーしている保険プランであること

 ●
Repatriation of remains in the amount of $7,500;
  →遺体の移送費用として7,500ドル以上カバーしている保険プランであること

 ●
Deductible not to exceed $500 per accident or illness;
  →免責金額が500ドル以下の保険プランであること


 本件の詳細はこちら


【賠償保険】
 訴訟大国である米国に居住するなら賠償保険への加入が必要不可欠ですが、様々な
 種類の保険があるため、ご自身のニーズに合ったプランを選ぶことが大事です。ま
 たアパートを借りる際に不動産屋が薦める保険に加入する方法もありますが、日本
 でも米国赴任者向けの賠償保険が販売されているので出発前に一度は検討しておき
 ましょう。尚、医師・研究者から評判のアンブレラ保険では下記のような場合でも
 カバーされ、いざという場合にも安心です。


 ●自動車超過損害賠償:自動車事故に起因する損害賠償責任が発生した際、予め設
  定された金額(免責金額)を超過する部分のみをカバーする補償。かなり高額を
  補償している反面、免責金額部分は全く補償の対象とならないため、免責金額部
  分をカバーできる保険に現地で加入していることが大前提となる。「二次保険」
  「上乗せ保険」とも呼ばれる。


 ●借家人賠償:火災・爆発・破裂などに起因して賃貸住宅に損害を与えた場合の家
  主に対する補償。賃貸住宅の契約時に家主やランドロードから加入を要求される
  ことが多い。


 ●受託動産賠償:一時的に預かった他人の財物に損害を与えた場合の補償。

 ●人格権侵害:名誉毀損、プライバシーや肖像権の侵害によって訴えられた場合の
  補償。

 ★海外旅行傷害保険や火災保険などに特約として付帯されている個人賠償責任保険
  (CPL=Comprehensive Personal Liability)の場合、上記の賠償事故はいずれも
  担保されません。このため、米国で自動車を運転する方や賃貸住宅にお住まいに
  なる長期滞在の方はアンブレラ保険への加入が必須といえます。


【JFC「海外赴任者総合保障制度」】
 JALとAIU保険会社が提携して販売している保険プラン。多くの米国赴任者にご利用
 頂いており、米国赴任者向けの保険商品では抜群の知名度を誇っています。この保
 険プラン(JALファミリークラブ「海外赴任者総合保障制度」)では基本プランと
 して賠償保険(アンブレラ保険)を、オプションプランとして医療保険や盗難保険
 をご提供しております。例えば、受入先の研究機関で医療保険に加入される方には
 基本プランだけを、受入先の医療保険に加入できない方は基本プラン+オプション
 プランという組み合わせでご契約が可能です。

【当該保険の特長】
 1.米国自動車保険の加入紹介サービスが享受できる(詳細は別ページで紹介)
 2.自動継続するため更新の手間が省け、保険の掛け忘れが防げる
 3.Jビザ保持者が要求されている保険加入条件にも対応している


コラム:米国の医療費高騰の真相?
米国の医療費は恐ろしく高額であり、世界で最も高いのは疑うべくも無い
事実ですが、その背景には訴訟社会ならではの事情があります。例えば、
治療の過程において身体的または精神的ダメージを受けた患者は誤診や怠
慢などを理由に病院や医師へ対して高額な賠償請求訴訟を起こすことが頻
繁に起きています。

特に南部ではこの傾向が顕著であり、身体に障害を持つ子供を新聞広告で
募集、その子の出産を担当した医師や病院を相手取ってマルプラクティス
Malpractice=医療過誤や不正診療)で訴えることを専門にしている弁護
士が実在するそうです。

このため、大多数の開業医は訴えられた場合に備えて賠償保険に加入して
おりますが、その保険料は医療費から充当されており、マルプラクティス
訴訟の増加が医療費高騰の一因になっていることは紛れも無い事実です。

また産科の開業医は年間で10万ドル超の保険料支払いを余儀なくされ、一
部の地域では医療過誤での訴訟に嫌気を指した医師が廃業、その地域にお
ける医師の過疎化が進むなど社会問題となっております。




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