【出産】


 洋の東西を問わず、妊娠・出産は喜ばしいことですが、国によっては行政や医師・
 医療機関の対応に相当の違いがあることも事実です。例えば日本では、初産婦の方
 だと7日前後、経産婦の方でも最低4日は入院させられるケースが大半です。これは
 産後の経過を観察することと、母体への影響を慮ってのことだと言われてますが、
 米国や英国ではよほどの感染症や合併症が無い限り、産後48時間以内の退院が一般
 的であり、日本人の感覚からすると出産後2日での退院には驚きを禁じ得ません。

 但し、その背景には「医療保険でカバーされるのは2日まで」「2日以上の入院だと
 ものすごい金額の自己負担が発生してしまう」といったことが噂されておりますが
 真相は定かではありません。また麻酔を使用しての無痛分娩が圧倒的に多いことも
 米国での出産の特徴かもしれません。
 
 尚、基本的には日本も米国も出産に際しての諸準備は同じですが、一般論をご紹介
 しますので参考になれば幸いです。


 【保険でカバーされる?】
 米国で生活している以上、既に何らかの医療保険には加入されていると思いますが
 妊娠・出産に関する医療費が保険でカバーされるのか否かを何よりも優先してまず
 はじめに確認しておきましょう。

 米国の分娩費は驚くほど高額なため、医療保険でカバーされない場合には相当額の
 経済的負担を強いられることは間違いありません。ちなみに日本で販売されている
 海外旅行傷害保険は妊娠・出産に関する全ての医療費が免責となっており、カバー
 されません。これは「妊娠=病気ではない」といった概念に基づいておりますが、
 もし仮に妊娠・出産に要する医療費をカバーするとなると、保険商品としては全く
 採算が合わなくなるため、免責となっているのが真相に近いと思います。

 ちなみに日本の健保も同じく妊娠・出産に関する医療費はカバーしておりませんが
 米国の医療保険では、妊娠中の検査代や分娩費は他の疾病と同様にカバーしている
 ケースがほとんどです。(その代わり保険料も相当に高いですが・・・)

 【主治医の選択】
 医療保険で妊娠・出産がカバーされているかどうかを確認することには、もう一つ
 大きな理由があります。米国の医療保険では予め、事前にホームドクターを決定し
 ておくことが一般的ですが、産科・婦人科についても全く同様のことがいえます。
 すなわち、HMOにしろPPOにしろ、まずは自宅から近くて評判が良い医師・医療機関
 を提携病院のリストから選択することが最初の第一歩です。ちなみに科目を問わず
 初診(問診)はホームドクターのオフィスで行い、様々な検査や手術等は(設備が
 整っている)別の病院で行うことが大半です。

 【妊娠判定】
 昨今は日本でも多いですが、妊娠の可能性を感じたら、まずは市販の家庭用妊娠検
 査薬で判定するのが一般的です。その結果、陽性反応であれば、お近くの婦人科医
 のもとへ行きましょう。但し、日本と大きく異なるのは米国の場合、妊娠してから
 病院へ行くまでに10週間近くもあいだが空くこと。日本では5〜6週で診察を受けて
 出産予定日や様々なアドバイスを受けることが出来ますが、米国ではそういったこ
 とがなく、よほどの異常所見が見当たらない限り、受付してもらえないことが多い
 そうです。但し、不正出血などがの異常があれば、即座に病院へ行きましょう。

 【定期検査】
 今後、定期的に通院する必要がありますが、尿検査や血圧測定、心拍測定は毎回、
 実施されます。ちなみに日本のような毎回の超音波検査はほとんど行われません。
 もし希望する場合には超音波の検査機器を置いている別の病院に出向く必要があり
 ます。(多くのホームドクターオフィスには超音波の検査機器がないため)また超
 音波検査は20週前後に一度だけ行うのが一般的です。尚、この検査には数百ドルの
 請求が発生するためご注意下さい。

 【分娩費用はいくら?】
 最も気になる点ですが、文字通りピンからキリまであります。私立でそこそこ知名
 度がある病院だと最低でも10,000〜15,000ドル、公立病院でも4,000〜7,000ドルと
 いうかなりの高額になるため、万が一、保険が適用されない場合には大変な負担を
 強いられます。

 ちなみに信じられないかもしれませんが、出産前(34週目)に切迫早産で2週間程
 入院した人が30,000ドルもの請求を受けたという嘘のような本当の話があります。
 この最大の理由は、医療過誤で訴えられた場合に備えてほとんど(全て)の産科医
 が加入している賠償保険の保険料を医療費に転嫁していることが挙げられますが、
 訴訟社会の怖さを実感できるシーンといえます・・・

 【産後】
 男の子の場合、割礼(Circumcision)をどうするか聞かれます。処置をする家庭の
 方が多いそうですが、東洋人の場合だとしないケースがほとんどです。




もどる